釉薬(ゆうやく)は、陶磁器やホーローの表面をおおっているガラス質の部分を指します。陶磁器などの製作時に器の表面に薬品をかけて生成します。これまでも時々釉薬として使われていたウラン酸ソーダが発見されニュースになったことがあります。
先祖から受け継いだ陶磁器用の釉薬(ゆうやく)がウランを含む放射性物質だったため、所有者の岐阜県の女性が原子力規制委員会に廃棄を申請し認可を受けたことが、10日の規制委定例会で報告された。放射線量は安全上問題ないレベルだった。大阪大が引き取って管理することになった。
引用:朝日新聞
平成23年には、常滑市立陶芸研究所に三酸化ウラン及びウラン酸ソーダがあることが分かり、研究所とその周囲の放射線量を計測する事件がありました。その時の放射線量は、保存用の瓶からの距離1cmで0.65マイクロシーベルト/時間、距離1mで0.10マイクロシーベルト/時間、敷地境界で0.075マイクロシーベルト/時間の測定値で、周囲の安全性は確認されています。
1.環境省による規制は?安全性は?
環境省では、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域の指定や、除染実施計画を策定する地域の要件を、毎時0.23マイクロシーベル ト(μSv)以上の地域であることとしました(測定位置は地上50cm~1m)。この数値は、追加被ばく線量年間1ミリシーベルト(mSv)を、一時間あ たりの放射線量に換算し、自然放射線量分を加えて算出されています。
引用:東京都環境局
常滑市立陶芸研究所で発見された三酸化ウラン及びウラン酸ソーダは常時ポケットに入れて持ち歩くような状態でない限り問題視されるレベルではないということです。発見されたウラン酸ソーダが物置に保管されていたようなもので、ほとんど人に触れることはない場合には、基本的には、所有者にしても、近隣の方にも影響はないと考えて問題ありません。
2.釉薬にウラニウムを使う目的は?
釉薬にウラニウムを利用する目的は色付けです。低火度釉にウラニウムを数%加えると黄色系になり、添加量を増して行くとオレンジー朱赤となり、さらに量が多くなると朱の地に黒の斑点ができ、次第に黒の部分が多くなっていく。磁器釉に20%以上加えると黒色釉になる、とのことです(引用:ウランガス同好会ホームページ)。色によってウランの含有量が異なり、高含有量の陶磁器だとそれ相応に発する放射線量も高くなります。モノによると3マイクロシーベルト/時間を超えるものもあるといいます。まぁ基本α線主体ですので、戸棚や箱に保管しておけば放射能は遮断されるはずです。個人的にはわざわざ所有したいとは思えません。
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