肺癌検診はCTの方が良い?レントゲンで十分?データはある?

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外来で時々受ける質問に

「肺がん検診はレントゲンよりCTのほうが良い?」

ってのがあります。

ほとんどの患者さんはヘビースモーカーであるため

自分が肺癌になる可能性を心配されて質問されます。

答えとしては最初に

「そんなに心配ならタバコ止めたらどうですか?」

ってところから始まります。

とはいうものの実際はどうでしょうか?

 

肺がん検診における胸部レントゲンとCTの発見率は?

いくつかのグループが両者を比較しています。

「東京から肺癌をなくす会」

このグループは肺癌の高危険群を対象として

肺がん検診を行いデータを収集しています。

ちなみにこの肺がん検診は会員制です。

CT検診では延べ受診者14526名で肺癌発見率は0.372%、

5年生存率は83%です。

レントゲン検診では延べ受診者26338名で肺癌発見率は0.163%、

5年生存率は48%です。

 

住民検診

長野プロジェクトと銘打った住民検診での

胸部CTを実施したデータです。

CT検診を受けた延べ受診者は10045人で、発見率は0.472%、

比較対象としての過去の同自治体のデータでは

レントゲン検診での発見率は0.299%です。

 

同様な試験をJA長野でも行っています。

CT検診での発見率は0.543%、

レントゲン検診での発見率は0.875%

と、なっています。

 

検査の特徴を考えるとCTの方が

異常を指摘する能力が高いことは当然であり、

各データにおいて発見率がCTの方が

優秀であることは間違いないでしょう。

 

ただ毎年CTを受けるべきか?と聞かれると

そこまでしなくてもいいのでは?

と、考えます。

毎年実施するには無理があるのも事実です。

毎年肺癌検診をするのに無理がある理由

実際にCTでの検診がメジャーにならないのには

いくつかのワケがあります。

 

マンパワーが足りない

胸部CTの読影を責任をもってできる

医師の絶対数が足りないと思います。

胸部に限らずCTの情報量は莫大です。

胸部CTを撮影しても、腹部も映ります。

すると腹部の読影も必要です。

私は呼吸器内科医ですから

胸部の所見は責任を持ちます。

でも、横隔膜から下には自信がありません。

従って放射線科の読影医に確認を依頼します。

1人の健康な検診受診者のために

読影医が二人は必要ということです。

近未来にAIが読影してくれるようになれば

マンパワーの問題は解決されると思いますが

もう少し先の話でしょう。

 

お金がない

地方自治体が提供している検診には

当然予算があります。

全ての住民に対してCT検診を

毎年提供する予算はどこにもないでしょう。

 

データの保存が困難

CTのデータ量は膨大です。

画像の質を落とすと読影に支障をきたします。

高品質を維持すると保存に支障をきたします。

 

他にも高機能CTそのものを全国津々浦々に設置する

と言った難しい問題もあります。

 

少なくとも住民検診での肺がん検診は

まだまだレントゲンがメジャーになります。

CT健診が希望であれば、人間ドックを受けることを

お勧めいたします。

施設によって値段は違いますが、

概ね5000円程度になると思います。

 

最も重要なポイントは

やっぱり禁煙でしょう。

肺癌高リスク群の代表は喫煙者です。

人間ドックでのCTについては

3~5年に1回で十分だと思います。

CTで発見される肺癌のタイプの大半は

高分化腺がんと呼ばれるタイプです。

このタイプは年単位で少しづつ大きくなります。

とういうことは前年に認めない高分化腺がんが

翌年に発生することはほぼあり得ません。

もし肺癌が発生しているとすると

小細胞肺癌や扁平上皮がんと言った

非常に進行の早いタイプの肺癌であり

こういった肺癌はレントゲンでも分かる

レベルで進行します。

 

人間ドックは住民検診に比較すると

どうしても高価になりますが、

その分より細やかなサービスを受けることができます。

近頃の生命保険は人間ドックの補助を受けれるものを有ります。

あなたの保険を見直す機会かもしれません。

 

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