新型コロナウイルス感染拡大抑制を目的に初診患者さんであってもオンライン診療が可能になったわけですが、どんな患者でも初診からオンラインでなんでも薬が出せるわけではありません。厚生労働省の指導によると、不適切な例として以下の2点を挙げています。
- 患者が、向精神薬、睡眠薬、医学的な必要性に基づかない体重減少目的に使用されうる利尿薬や糖尿病治療薬、美容目的に使用されうる保湿クリーム等の特定の医薬品の処方を希望するなど、医薬品の転売や不適正使用が疑われるような場合に処方することはあってはならず、このような場合に対面診療でその必要性等の確認を行わず、オンライン診療のみで患者の状態を十分に評価せず処方を行う例。
- 勃起不全治療薬等の医薬品を、禁忌の確認を行うのに十分な情報が得られていないにもかかわらず、オンライン診療のみで処方する例。
引用:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000201789.pdf
となっています。少なくとも眠剤に関しては、「麻薬及び向精神薬取締法」に抵触するので、下手すると「医師免許はく奪」となるリスクがあるので医師は絶対に処方しませんし、してはいけません。
また医師側に順守する事項の一つに
患者の急病急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接の対面診療を行える体制を整えておくこと。
これは来院が不可能な患者(遠方の患者など)に処方を行うことは不適格であるといっているのだと考えます。患者さんも遠方の病院・クリニックにネット受診で済ませることはできないと理解していただきたい。
ネットを通しては決して診断が不可能な疾患はいくつもあります。例えば慢性膵炎。すくなくとも血液検査と腹部エコーなしでこの疾患名を付けることは不可能です。ここまで言って勘のいい方は分かると思いますが、新型コロナ感染の試験中のフォイパンを何とか手に入れようとする人が一定数います。フォイパンを処方するには慢性膵炎の病名が必要です。安易にフォイパンの処方を医師にお願いすると、信頼関係が破綻し本当に必要な薬の処方も躊躇される可能性がありますので、お勧めしません。
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