臨床医にとって製薬企業勤務がキャリア形成に有効と思うワケ。

仕事
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こんにちは。

企業勤めの内科医ヒロスケです。

今回は「臨床医にとって製薬企業勤務がキャリア形成に有効と思うワケ」についてです。

 

私は製薬企業に勤めて10年を超えます。

流石に臨床医としての技術や勘は衰えていると思います。

ただ知識のアップデートはできています。

個人的には臨床に戻ろうという意識はありませんが、知り合いの企業勤務医の中には数年の企業勤務の後に臨床に戻る先生がいます。

そういった先生に臨床に戻ってからお話を聞く機会を持つと、一様に臨床医としての視野が広がったことについてのお話を聞きます。

企業勤務を経験したことによる臨床医のメリットについてお話したいと思います。

 

臨床以外の世界を経験する事

臨床現場は非常に特殊な環境です。

おそらくその事実を否定する医師はいないでしょう。

働き方改革が浸透しないのもその特殊性がなせる業だと言えます。

 

企業勤務を経験すると非医療職の人の仕事の悩みを理解できます。

つまり大多数の患者さんの悩みに共感できるようになります。


企業内では医師は管理職でなくともリーダー的役割を要求されます。

この経験は臨床現場に戻った時に、コメディカルや後輩への接し方に生かされます。

企業内では多くのエキスパートともに仕事を行います。

法律、統計、人事などなど

そういった人と一緒に仕事をするうえで最も重要なのは、謙虚さ。

その謙虚さは、他人への接し方を変えます。

私自身は、週一の外来しかしていませんが、この姿勢によって大きく変わった点があります。

以前は患者さんの病気を見ようとしていた診療が、患者さんそのものにも興味を持てるようになりました。

この事実は外来のコミュニケーションスキルの向上に役立っています。

 

薬の開発、管理を学ぶ

私は臨床医の頃、新薬が世に出るとそのキーとなった論文をまず目を通しました。

その後のアップデートも主に論文や学会でした。

あまり添付文書の重要性に目を向けていませんでした。

もちろん禁忌や注意事項は目を通していましたが。

一旦企業に勤めるとその薬に対しての情報収集能力や解析能力には目を見張るものがあります。

また新薬の申請から承認にかけて必要とされる情報量にも目を見張るものがありました。

陳腐な言い方になりますが、改めてエビデンスの重要性を理解しました。

エビデンスを作るためにどれだけの労力と財力をかけているか。

そんな事実の目の当たりにします。

少なくとも独りよがりの処方や治療方法は否定するべき対象となります。

 

また企業がどんな情報をどのように管理しているかを知ることができるので、臨床に戻ると以前よりも上手に企業と付き合えるようになるでしょう。

多くの出会いがある

薬の開発のためには、沢山の医師に協力をお願いします。

その中には普通に臨床をしているだけでは中々直接お話をする機会を得る事ない偉い先生も。

そんな先生方とお仕事をする機会を得ることができます。

時には海外の先生ともお話をする機会を得ます。

そして沢山のことを学べます。

基本的には企業は面倒見の良い先生と付き合います。

だから沢山教えてくれます。

業務を通じて沢山の知識を得ることができます。

この知識は臨床でも生かされます。

厚労省やPMDAの存在を理解する

臨床をしていると、その存在感を大きく感じることの無い厚労省とPMDA。

彼らの仕事量も凄まじいです。

FDAやEMAとよく比較され、新薬申請業務に時間がかかりすぎると揶揄されるPMDAなど同情します。

基本的に予算が違うのでしょう。

製薬企業は新薬申請時には当然のごとく冷静に客観的データをもって臨みます。

しかしその新薬申請には何億円もの先行投資を行っています。

何とか承認にこぎつけたいとの気持ちも同時にあります。

やはり第3者による客観的なレビューは必要です。

新薬承認には何百、何千ページに及ぶ書類を提出します。

その中にはおびただしデータが含まれます。

彼らはそのデータの重箱をつつくような疑問も決して見逃しません。

時にはイラっとしますが、やはり患者さんに安全に提供するには必要な作業です。

臨床と企業のキャリア形成

私は臨床医と企業勤務の転職はもっと盛んになっても良いと思っています。

特に臨床経験が豊富な先生が一時的に企業に勤めるのは、より良い薬を世に出すためには良いことです。

企業に転職しても4年~5年して臨床に戻っても良いと思います。

 

大学院に入ると一時臨床現場からは離れます。

4年ほど臨床から離れてもすぐに戦力になることは多くの医師は実感できているでしょう。

同じように企業勤務を経験することは臨床医としては無駄ではありません。

業界を活性化し、より良い薬の開発とより良い有効な情報活用に医師は必要です。

特に感じるのは、子育てで現場から離れている女性医師の皆さん。

製薬企業は厚労省との関係上、子育てなどの福利厚生は非常に優れています。

あなたの臨床経験を活かして、有効活用されていない企業が持つ情報を活かしてあげてください。

子育てに一段落つき、臨床に戻ることは可能です。

企業の業務内容については以下の記事を参考にしてください。

参考:医師が製薬企業に勤めるワケ。会社で何をするの?やりがいは?

 

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