医師という職業に将来性はない?生き残るのに必要な知識とは?

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こんにちは。

企業勤めの内科医ヒロスケです。

今回は「職業としての医師の将来性」についてです。

 

医師過剰時代は来る?

医師が過剰になる世界は間違いなく来ると思っています。

これからどんどん人口は減ります。

人口減に歯止めをかける気が政府にはありません。

少なくとも政策を見る限り、人口減を受け入れているとしか思えません。

少子高齢化は加速する一方です。

医師数はどうでしょう。

細かい数字は様々雑誌で取り上げられているので詳細は延べませんが、現在受験生120人あたり一人が医学部に進学しています。

団塊の世代の時代には500人~600人に1人です。

これから急激に人口が増える時の割合と比較すると非常に大きいと言えます。

 

医師が足りないとマスコミが騒ぎ出したため、政府も医師数の増加策に舵を切りました。

2030年までに、OECDに加盟している国の中で人口当たりの医師数はトップになると計算されています。

人口が減り、医師数が増えているのですから当然ですよね。

医師の給料は減る?

人口が減るということは、国民健康保険や社会保険を支払う人口が減ることを意味します。

当然健康保険の財政は厳しくなるでしょう。

財政が厳しくなると行う対策は二通りです。

①収入を増やす

②支出を減らす

 

①は健康保険料の増額、もしくは税金による補填ということになります。

この方針は十分に考えられますが、②を行わずに①だけを実行するのは国民が承諾しないでしょう。

②の手段としては、国民に対しては医療アクセスの制限や被保険者の負担増、医療費のコストカットなどが挙げられますが、これも国民の声をベースに考えれば答えは出ます。

自分が受けることのできるサービスを低下させてまで、医療費が維持されることに同意できる国民はどれほどいると思いますか?

サービスが低下するなら、その費用は安くなるべき

 

そう考えるのはある意味当然なことです。

従って、医療費のコストカットは行われることになります。

 

医療費のコストカットのターゲットは、薬価(薬の値段)と診療報酬。

薬価をカットする方針は現在進行中です。

ジェネリックの推奨は薬価のカットの一連です。

また高額な薬が売り上げに応じてどんどん安くされるシステムはここ数年で成立しました。

当初のターゲットはオプジーボキイトルーダでしたが、現在は様々な薬剤に適応されています。

ただこのシステムを乱用すると何が起きるか?

それは多くの外資系製薬企業の日本からの撤収です。

日本で薬を開発しても儲からないのであれば、撤収されることは十分に予想されます。

実際に多くの内資系企業も、国内の売り上げに見切りをつけて、世界に打って出ようとしています。

ただでさえ海外で使えるのに日本で使えない薬があることを問題視している声があるのに、このリスクを無視するような活動をどんどん推し進めていくことに躊躇するのは当然です。

日本の医療レベルが世界に取り残される事態は十分に予想範囲内です。

結局、診療報酬の減額が現実的な方針ということになります。

実際には診療報酬の減額は、既に現在進行形です。

意外と知らない方も多いのですが、ずいぶん削られています。

多くの病院が収支に苦労し、かつて長者番付に医師が並んでいた時代は終わりを告げています。

それでも診療報酬は削られるでしょう。

小さな病院はどんどん淘汰されます。

集客能力と腕と人格が備わった優れた医師だけが経営者として生き残ります。

 

事実、国家資格としては同様な立場にいる歯科医と弁護士はそのような現実に向き合っています。

 

人気でいつも予約がいっぱいの歯科医もいれば、いつも空いてる歯科医もいます。

時給が何万円もする弁護士もいれば、数千円も稼げない弁護士もいます。

医師もこれと同様な時代が来るでしょう。

 

経営能力のない医師は大病院でしか働けません。

現在でも病院のサイズが大きければ大きいほど、給料は少ないのが現実です。

極端な例ですが、私が大学病院で医師5年目で働いた時の給与は月に30万未満でした。

前年までの収入の半分以下でした。

正直、1~2年目の研修医より安かったです。

大病院では、病院の看板になるようなスペシャリストのみが高給取りになるでしょう。

大半の医師は、その給料をもっと減らすことになるでしょう。

 

開業医については、経営能力と診療能力を高いレベルで備えた医師だけが成功します。

 

もちろん食いっぱぐれる可能性は低いと考えます。

ニーズが完全になくなるわけではないので、給与を下げれば働く場はあると思います。

 

ただ、近年の医学部進学にかける加熱と投資に見合った結果が得られるか?

 

と、問われると投資対象としてはリスキーであり、将来性は低いのかなと考えます。

 

医師として成功する道は?

医師が成功するために目標とする道は3つです。

  1. 専門家として生きていく
  2. 開業医として生きていく
  3. 病院から離れて生きていく

 

専門家として生きていく

専門家として成功するためには、病院の看板になるくらいの腕が必要になります。

もちろん大学の教授を目指すのも、専門家として生きてく選択肢です。

大学病院で活躍し、そしてたくさんの論文を書いている友人がいます。

ただ彼らの努力は、受験勉強の比ではありません。

週末も夜も研究に精を出し、論文を書き続けています。

そして患者さんも同時に見ています。

医学部に入学することがゴールだという認識の方には到底に無理な道です。

 

専門家の道は、身近にロールモデルがいる環境で働くことが最も重要なポイントだと思います。

大学病院を始めとした大病院で働き続ける努力が第一歩でしょう。

偉くなりたくはないけど、コツコツ勤務医として生きていくと決めた人に必要なのは投資の知識でしょうね。

大学では教えてくれませんが、一般社会人は当然の知識として備えています。

知らないのは世間知らずの医師だけです。

まずは小額からでもいいので、NISAやiDecoに挑戦し勉強することをお勧めします。

 

投資をする時に地味に重要なのが手数料。

手数料無料で投資ができるのは、SBI証券です。

ハピタスからSBI証券の口座を申し込むと6000円もらえます。

何から買えばいいのか分からないって方は、まずは投資の初級本を一冊読みましょう。

投資信託は誰かに推薦されて買うものではありません。

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開業医として生きていく

開業した友人もいます。

彼らは多くの借金を抱え、大きな一歩を踏み出しました。

開業したての1~2年は患者の来院数は一日に数人なんて日もあり、胃が痛い思いをしながらも自分がしたい診療を行っています。

自分が信じる診療行為を行っているので充実感はあるようです。

私の目からは優れた腕と優れた人格を持った医師です。

しかしながら経営能力はそれらと比べると劣ると言わざるを得ません。

時々メールで相談に乗りますが、ビジネスを学ぶ量が少ないように感じることは多くあります。

開業医を目指してキャリアを積もうとしているならビジネスを学ぶことを並行する必要があります。

開業医とは、要するに個人事業主です。

なかなか優れたロールモデルに出会うチャンスはなく、出会ってもいつも一緒に働けるわけではありません。

必要なのは、世にある成功モデルを医療分野に外挿できる柔軟性を持つことでしょう。

例えばインターネットでの起業モデルを開業に応用することは現在では当たり前のことです。

あなた自身の起業センスを磨く必要があります。

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病院から離れて生きていく

病院から離れるという選択肢もあります。

製薬企業に勤める私もその中の一人でしょう。

また東大医学部を卒業して、Googleに入社した人もいますし、厚生労働省の医官になる人もいます。

医学部を卒業するやいなや、起業している人もいると聞いたことがあります。

またIT企業の中には医療機器の開発に乗り出す企業もあり、そういった企業の中には医師の雇用に興味をもつ企業もあります。

実際にそういった企業からオファーを頂いたこともあります。

そんな企業がヘルスケアに注力するの??って驚くこともママあります(どこかは秘密です)。

 

病院から離れて働くために必要なのは協調性リーダーシップだと思っています。

一匹狼を気取る医師には無理です。

病院から離れて働く医師についても、専門医と医学博士くらいは取っておくことをお勧めします。

自分の臨床経験を提示できる数少ない証明書ですし、企業内でのアイデンティティになります。

 

企業に入ると企業の中の一社員として、歯車になることを受け入れなければなりません。

会社の方針は絶対です。

会社の方針に従えないなら、会社を変えるか、病院に戻るかの二択です。

ただ臨床に戻るのは簡単です。

そういった点で戻る場所があるので、医師以外の職業の方より会社を変える転職は容易です。

 

ちなみに企業に入社して3年を過ぎると、同業他社からのオファーはひっきりなしになります。

春、秋にはヘッドハンターからのコンタクトが頻回にあります。

ただ、会社に入ると臨床の技能は間違いなく落ちます。

従って、長年企業勤めをしていると、新規雇用した医師に知識と経験の面で負ける場面が出てきます。

そういった状況を予防するために、可能であれば週1回は病院での非常勤勤務を認めてもらうよう入社前に掛け合うことは重要です。

そういった状況でも活躍するためには、リーダーシップを磨き、新規雇用の医師の上司になるよう昇進をしておくことも重要です。

病院外で働いて成功するためのスキルとしては、マネージメント力ということにもなります。

臨床経験を持つ医師を必要としている企業はたくさんあります。

製薬企業での仕事については以下の記事にまとめています。

参考:医師が製薬企業に勤めるワケ。会社で何をするの?やりがいは?

 

企業への転職に興味がある方は、Twitterで直メ下さい

また最初の企業への転職に優れたリクルート社として、「エンワールド」「JACリクルートメント」をお勧めします。

初めての企業への転職には2~3社のリクルート社への登録をお勧めします。

希望の案件は会社によって違います。

医師を目指す受験生の皆さんへ

厳しいことを言いましたが、医師という仕事がやりがいのある仕事であることは間違いありません。

病気に立ち向かい、病気を克服した患者さんからの感謝の言葉は何者にも代えがたい価値あるものです。

ただ状況は刻々と変化しています。

医学部に入学し、卒業まで6年。

卒業してから、研修医~専攻医を修了して4年。

その後専門医や医学博士になるために必要な時間は4~5年。

15年後20年後の未来のことなど誰も分かりません。

ただ現状を見る限り、医師になればお金持ちになれるという夢が必ずしも叶えられないということはご理解いただけたと思います。

お金持ちになりたいというモチベーションを否定する気はありませんが、お金持ちになりたいモチベーションを医学部進学に向けるのはお勧めしません。

未来の安定性を目的に医師になるのは理解できますが、投資対象としては優れているとは思えません。

少なくともそういった医師になろうと決めた方は、都会にこだわらず国立大学医学部を目指してください。

医師の卒業大なんて大してキャリアには影響しません。

学歴がどうしても気になるなら、大学院だけ旧帝大に行けば履歴書には旧帝大卒と記載できます。

大学入試に比べれば、大学院の入試はさして難しくありません。

 

何千万円もの入学費・授業料を親にお願いする前に、国立大を合格するだけの学力をつけましょう。

(医学部進学のための専門の塾)だってあります。

その国立大の難関さは私が受験生だった頃よりさらに拍車がかかってると聞きますが、自分が何故医師になりたいのかを冷静に考えてください。

 

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