エピネフリンとアドレナリンの違いってご存知ですか?
実はどちらも全く同じ物質です。
私はずっとエピネフリンが商品名でアドレナリンが製剤名だと思っていました。
エピネフリンはギリシャ語が語源、アドレナリンは英語が語源。
どちらも副腎を意味する言葉です。
ではなぜ二つの言葉が現場でも流用されているのでしょうか?
実はこの二つの言葉がある理由には日本人が大きく関わっているのです。
こんにちは。
企業勤めの内科医ヒロスケです。
今回は「エピネフリンとアドレナリン」についてです。
アドレナリンを発見した人は?
アドレナリンを発見したのは、日本人・高峰譲吉と上中啓三です。
日本人が発見したアドレナリンは牛の副腎から結晶化に成功しました。
高峰譲吉ってどんな人?
高峰譲吉氏は富山県高岡市生まれ。
彼は36歳の時に米国に留学し、タカジアスターゼとアドレナリンという二つの薬を発明しました。
タカジアスターゼは「ーゼ」とついていることから酵素だと分かります。
タカジアスターゼはコウジに含まれる酵素で、分解作用を有していることから消化薬として薬に流用されます。
コウジと言えば味噌、醤油、お酒と日本ではおなじみですよね。
この薬は酵素を利用した世界初の薬剤です。
ちなみに高峰氏は現第一三共株式会社の元である三共商店の創始者にあたります。
上中啓三ってどんな人?
上中啓三氏は兵庫県西宮市生まれ。
高峰譲吉の助手としてニューヨークで牛の副腎からアドレナリンの結晶化に尽力し成功をおさめます。
その後現ファイザーであるパーク・デービス社に勤め、帰国後は高峰氏と三共商会で働き、タカジアスターゼの研究開発に尽力しました。
アドレナリンは副腎ホルモンで、止血作用に注目されました。実際に現代でも利用されています。
エピネフリンを発見した人は?
エピネフリンを発見したのは、アメリカの研究者であるエイベル氏です。
エイベル氏は羊の副腎から単離した化学物質をエピネフリンと名付けました。
その後、アドレナリンとエピネフリンが同一の化合物であることが分かりました。
どちらが先に発見したの?
高峰氏が死んだ後にエイベル氏は、高峰氏の業績は自分の盗作であると主張します。
アメリカでは個のエイベル氏の主張が認められました。
しかしながら後に上中氏の実験ノートなどを参照したところ、高峰氏の方が早く結晶化に成功していることが実証されました。
改めて実験ノートも重要性を確認できた出来事と言えます。
ちなみに実験ノートは専用のノートを利用しましょう。
文房具屋で100円で買うものではありません。
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実は日本では2006年より前は医学会ではアドレナリンよりエピネフリンという名称が頻用されていました。
実際私が医学生だった頃はエピネフリンで学びました。
ただ2006年4月以降は日本薬局方で、アドレナリンが正式名称であると改訂されたのちは徐々にアドレナリンが市民権を得ています。
現在米国ではエイベル氏の主張が通っていることもあり、エピネフリンという名称が主流ですが、欧州では高峰氏の功績が認められアドレナリンが主流です。
医学雑誌も米国人が著者の時はエピネフリン、欧州・日本ではアドレナリンと記載されていることが多いです。
参考記事
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