妊娠すると便秘がちになる方はたくさんいらっしゃいます。ただでさえ便秘がちの方がさらにひどい便秘になる方もいらっしゃいます。ひどい人だと1週間以上便意がない方もいらっしゃいます。妊娠中の便秘に対してよく利用されるのが、ラキソベロンです。ラキソベロンには液状の薬があり、微調整ができる点が使いやすい点です。また妊婦にも安全に使用できると言われていますが、何滴くらい妥当なんでしょうか?また毎日内服しても問題ないのか?などご説明いたします。
1.妊娠すると便秘がちになるのは何故?
妊娠中は、赤ちゃんを守るために子宮の筋肉を弛緩(柔らかく)して、流産や早産を予防します。この子宮を弛緩させるのに役立つホルモンがプロゲステロンというホルモンなんですが、このホルモンは腸管の運動も抑制してしまいます。したがって便秘がひどくなると考えられます。
2.ラキソベロンは妊娠中の内服しても赤ちゃんに影響はないの?
ラキソベロンによって奇形児が生まれたという報告は見たことがありません。多くの産婦人科で妊婦にラキソベロンは投与されています。確かに添付文書には以下のような記載があります。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
これは古い薬には基本的に記載されている内容で、安全を確認しない限り、この記載は必ずありました。しかしここでいう安全とは、妊婦を対象とした正式な調査を行いデータをPMDAに提出することです。すでに数多くの妊婦に投与経験があり、改めて調査を行うことに企業はメリットがないのでこの記載が変更されることはないでしょう。
3.ラキソベロン液は妊娠中は何滴まで?
妊婦に限らずラキソベロン液の最大投与量は10滴~15滴です。妊娠前に便秘がちではなかった方は10滴も内服したら下痢すると思いますので、2~3滴から始めて1滴づつ増やしていきます。薬の効果が表れるには時間が必要ですので、内服は1日1回までにしましょう。詳細は関連記事にあります。
4.ラキソベロン液は妊娠中は毎日飲んでも大丈夫?
ラキソベロンは刺激性下剤という分類の下剤です。この分類の下剤は基本的には屯用で使用されることを前提としています。したがって最初は少なく始めるの連日内服になるかもしれませんが、ちょうどよい内服用量が決まれば、2~3日に1度が妥当だと思います。
5.出産したら便秘は治る?
妊娠をすると様々な体の変調をきたします。便秘もその中の一つです。いままで便秘ではなかったのに、妊娠して便秘がちになり、出産後も便秘が継続する方もいらっしゃいます。出産後も便秘がちになる方にもいくつかのパターンがあります。一つは子育てに追われてトイレに行くのを我慢してしまう方です。お通じは習慣です。ですので、トイレに行くのを我慢して、抑えてはいけません。もう一つは水分が足りない方です。母乳でお母さんの水分を子供がとってしまうので、結果的に水分不足に陥る方です。母乳を上げると喉が渇くとよくうちの妻も言ってました。しっかり水分摂取をしてください。
便秘には水分摂取、食物繊維の摂取、適度な運動が大切です。妊娠によってホルモンバランスが変化した結果一時的に薬が必要になるのは仕方ありませんが、普段から生活に気をつけて便秘には対処していただきたい。そうしないと高齢になってから大変ですよ~。
関連記事
コメント