PTSD(心的外傷後ストレス障害)と発達障害は関連があります。発達障害は近年ずいぶんに認知されるようになりましたが、それでもまだ不十分です。発達障害の子供たちにPTSDを発症する前に何とか気づいてあげたい。何とか助けてあげたい。我々大人はどうしてあげればよいのでしょうか?
1.PTSDと発達障害の関連を示すデータ
発達障害を持つ子供は、障害を持たない子供より虐待を受けるリスクを多く持ちます。ある統計によると、障害を持つ子供は持たない子供より 3.4 倍以上のリスクを持つといわれます。内訳はネグレクト 3.76 倍、身体的虐待 3.79倍、性的虐待 3.14 倍、精神的虐待 3.88 倍と言われています(引用:Sullivan, P.M., Knutson, J.F. 2000 Maltreatment and disabilities: a populationbased epidemiological study. Child Abuse and Neglect 24(10), 1257-1273.)。原因としては、障害による育てにくさや障害そのものの認知度が挙げられます。こういった虐待はPTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)に繋がりうるものです。
2.発達障害に気づいてあげるには
まずは、子供が発達障害であることを疑った時には遠慮なく医師や保健師に相談するべきです。疑うポイントは様々です。以下のような症状がある、もしくは疑わしい時には医師や保健師に相談してください。近頃は学校の先生や保健室の先生もよく勉強していますので、相談されるのも良いでしょう。
- 自閉症スペクトラム:1歳台だと、人の目を見ることが少ない、指さしをしない、ほかの子どもに関心がない、など。思春期や青年期になると、自分と他の人との違いに気づくことが多々あります。結果として、対人関係がうまくいかないことに悩み、ほおっておくと不安症状やうつ症状を合併します。
- 注意欠如・多動性障害:7歳までに、多動-衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が現れます。授業中に座っていても手足をもじもじする、席を離れるなどが典型です。おとなしく遊ぶことが難しく、じっとしていられません。またおしゃべりがすぎる傾向もあります。
- 学習障害:全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の事柄のみ学習が難しい状態を示します。
3.発達障害の子がPTSDを発症する前に
自分の子供のできない事が気になり、必要以上に厳しく当たってしまうことは大半の親は経験があります。頑張って改善すれば良いのですが、発達障害を持つ子供は努力がかえって逆効果になりかねません。その代表がPTSDではないでしょうか。親の目から見て「ちょっとうちの子は違うかも?」って感じたら専門家に相談してください。子供が救われるのと同時に間違いなく親も救われるはずです。一番怖いのは内にこもって一人で悩み、結果虐待につながることです。どうか一人で悩まないでください。
4.発達障害の子供を持つ父親へ
子供のことになると周りが見えなくなる大半は母親です。父親は少し離れた冷静の目を持ったほうが良いと思います。母親とは違った父親の役目の一つと言ってもいいのではないでしょうか。客観的に見て母親が冷静さを失っているときこそ父親の出番です。奥様と子供を連れて保健師さんとの面談に行っても良いでしょう。発達障害のクリニックに行っても良いでしょう。結果違っていてもいいのです。子供と妻を冷静に見守っている父親がいることを奥さんは感じ取ってくれます。
発達障害は知ることで救うことのできる障害です。疑ったら専門家に相談をしましょう。
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