生活保護の方の診察は基本無料です。
投薬についても無料です。
無料についてどうこう言うつもりはありません。
ただ診察の後に記載する
「医療要否意見書」
についてちょっと述べさせてください。
医療要否意見書とは?
医療要否意見書とは、医療扶助、つまり医療費を生活保護の延長として支給するうえでの判断材料となる書類です。
記載する内容は診察の対象となる疾患を記載しその疾患についての診療が必要だと旨を証明する
と、いった内容です。
そして記載内容には医療扶助を「要する」か「要しない」かを選択する項目があります。
ここで「要する」を選択しないと医療扶助が受けられない可能性が生じます。
医療要否意見書で医療扶助を認めないとどうなる?
通常の考え方だと医療扶助を認めないと、患者さん本人が医療費を負担する
と、考えますよね。
それが通常の考え方だと思います。
しかし、医療扶助を認めない場合には、結果的にその医療費は病院が肩代わりすることになります。
なぜか?
医療機関は医療費を徴収する役割を持ってません。
例えば次回受診時にはまとめて請求すると、いった方法はあるかもしれませんが
その患者さんが二度と受診しなかった場合は徴収する方法がないのです。
電話をして医療費の支払いをお願いしても素直に払う人などほぼいません。
受診料の支払いシステムのメリットとデメリット
別に生活保護の方を責めているわけではありません。
かつて夜間救急では会計窓口が開いていないために後日医療費を徴収していた病院がありました。
しかし多くの患者が支払いに来ません。
結局集金が出来ないために結局夜間の会計窓口を設置したという病院も知っています。
患者本人から後日集金するシステムは成功しません。
生活保護を受けていようがいまいが、です。
日本は国民皆保険のシステムにより、医療費は本人負担はせいぜい3割です。
残りの7割は後日国民保険や保険組合から徴収します。
手元に最低限のお金しかなくとも、医療を受ける機会を維持するという意味で素晴らしいシステムなんです。
生活保護の方以外では、医療費は国民保険や保険組合から得ることが出来ます。
ただ生活保護の方は要否によっては、医療費を徴収することが不可能になります。
結局のところ医療要否意見書の記載内容は、判で押したように「要する」となります。
では必要のない診療は止めたら?
という意見も聞こえますが、それは医師法で許されません。
結局結論が同じ書類なら、そんな書類止めませんか?
悪しき伝統に分類される書類だと思います。
なんとか必要のない書類業務を減らす方向に向かってもらいたいものだと思います。
もし医療要否意見書ってどうやって書くの?
って悩んでこの記事に行きついた研修医の方は黙って承認しちゃってください。
否認しても逆に事務から修正をお願いされるだけです(経験者です)。
こんな仕事いつまでしなくちゃならんの?
って、臨床の仕事に疑問を持ち始めて、うつ症状がでるようなら
病院外への転職に興味を持ってください。
未だ医師の自死が絶えない世の中です。
病院だけが医師が働ける場所ではありません。
参考:臨床医にとって製薬企業勤務がキャリア形成に有効と思うワケ。
コメント