間質性肺炎ってどんな病気?治療は?薬はあるの?治るの?

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在阪テレビ、ラジオ局でレギュラー5本を持つ吉本新喜劇の未知やすえ(56)が、間質性肺炎のため、4月から2カ月をメドに休養することになり、所属事務所が31日、発表した。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、同ウイルスへの感染を防ぐため、入院して、治療に専念する。

引用:日刊スポーツ

一言で間質性肺炎と言ってもいくつかの種類に分かれます。原因が分からない間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」と言います。原因には薬剤やウイルス感染などもあるのでそういった原因が除外された状況での診断ですね。分類は基本的には外科的に肺の一部を切除(外科的肺生検)して顕微鏡でみた特徴(病理所見)をもって分類されます。ただ全ての人に外科的肺生検ができるわけではないので、肺生検の病理所見と胸部CTの画像所見を比べて特徴を特定して診断します。診断が困難な時は肺生検が必要なことはあります。分類は以下の6パターンになります。

疾患名 病理組織パターン 頻度
特発性肺線維症(IPF) UIP 52.6%
特発性非特異性間質性肺炎(特発性NSIP) NSIP 17.4%
特発性器質化肺炎(COP) OP 9.4%
剥離性間質性肺炎(DIP) DIP 4.8%
呼吸器細気管支炎関連性間質性肺疾患(RB-ILD) RB
急性間質性肺炎(AIP) DAD 1.5%

引用:1)千田金吾, ほか. 厚生科学研究特定疾患対策研究事業びまん性肺疾患研究班平成13年度研究報告書 2002; 106-108.

頻度も記載していますが、そもそも最も頻度の多いIPFであっても希少疾患として政府の「難病(特定疾患)」に指定されており、日本全体で患者数は1万数千人と推定されています。10万人当たり10人程度です。

疾患によって少しづつ病態も異なるのですが、共通しているのは肺の間質が病変の首座となることです。肺の間質を理解するためには肺の解剖を理解しなくてはいけませんが、ここは専門の医師以外はあまり理解していないところなので気にしなくても良いです。ざっくりと肺は、肺胞と気管、血管、リンパ管とそれ以外でできています。肺胞はブドウの房のようにたくさんあり、酸素と二酸化炭素を肺静脈・肺動脈間で交換する肺の最小単位の器官です。基本的に一般的にみる抗生剤によって治療する肺炎は細菌が原因で、病変の首座は肺胞内にあります。間質とは肺胞の周囲の組織を指します。肺胞と肺胞の間には肺胞隔壁と言って形を保つための支えの組織があり、間をぬって静脈と動脈が走ってます。これらの間質部分が病変の首座となります。例えば肺線維症では間質の肺胞隔壁に炎症が生じて、固く分厚くなってきます。分厚くなると肺胞が固くなり十分に膨らみません。また酸素と二酸化炭素の交換もスムーズに行われなくなります。AIPなどはこの病態だ急速に進行して、あっという間に命を奪ってしまう死亡率の非常に高い疾患です。

治る病気と治らない病気があります。比較的治療に反応する間質性肺炎は、COP/NSIP/DIP/RB-ILDです。治療はステロイドなどの免疫抑制剤を使います。IPF/AIPは治療の反応が悪く、死亡率の高い疾患です。近年IPFの治療は研究が進み、線維化を抑制する薬剤の登場でやや治療成績は向上しましたが、不治の病であることに変わりはありません。繰り返しになりますが、いずれの疾患も非常に珍しい疾患であり、治療には専門医の知識と経験を要します。疑われた場合には専門医を紹介してもらうことが重要です。基本専門医以外は見たがらない疾患ですので、どこの先生もすぐに専門医に紹介してくれると思います。

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