診療報酬の架空請求がったとして
医療法人の理事長が逮捕されたとの
ニュースがありました。
診療報酬を架空請求したとして、警視庁捜査2課は27日、医師で医療法人「XX会」理事長(49)=東京都=と、XX会事務長(53)=羽村市=の両容疑者を詐欺と私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕したと発表した。
引用:毎日新聞
*ご本人より名を伏せて欲しいとの連絡があったためXXとしています。
逮捕容疑は容疑者が、
同居する実母の診療を在宅診療としたうえで、
訪問診療(往診?)として診療報酬を請求して、
報酬を得たことです。
何が問題だったのでしょうか?
なんとなく、それはずるくない?
って、感じはしますが、
その理由を考えてみたいと思います。
往診と訪問診療の違い
まずは往診と訪問診療の違いです。
往診は救急外来を家でしてもらうイメージです。
あらかじめ予約や予定を入れていない診察を
家で受けることを往診と言います。
それに対して訪問診療は予約受診の外来を
家で行うイメージです。
ただ訪問診療については
あらかじめ診療計画を立て
文書に残しておく必要があります。
往診にしても訪問診療にしても
患者の自宅に赴く必要がありますので、
通常の外来よりも時間も人でもかかります。
外来では10分で終了する診療が
移動時間を入れると1時間以上かかることもあるでしょう。
そのため診療報酬は通常の外来受診と比較すると
約10倍高く設定されています。
外来の再診料は72点(1点10円)ですが、
往診料と訪問診療費は以下のように設定されています。
外来(再診料) | 72点 |
---|---|
往診(往診料) | 720点 |
訪問診療(在宅患者訪問診療1) | 833点 |
往診と訪問診療の条件は?
だれどもどこでも往診と訪問診療を受けることができるのか?
というと当然その実施要件はあります。
まずは病院・診療所と患者の自宅の距離です。
要件ではその距離は16キロメートル以内とされています。
16キロメートル以内に往診や訪問診療を
実施している病院がないなどの理由があれば別ですが、
単なる患者の希望で遠方の病院から往診や訪問診療を
受けることは認められません。
これは医師や看護師の労働力や医療保険といった
限りある医療資源の無駄遣いを防ぐために設定された条件です。
今回の逮捕された不正請求は
医師の自宅での診療行為を訪問したと
虚偽の報告をしたのが問題なんだと考えます。
病院から自宅までの距離などは
要件としてクリアしていたかもしれませんが、
医師が自宅で家族に対して行った診療を
往診や訪問診療とするのには明らかに
上記の条件を逸脱しています。
大半の患者さんやその家族は自家用車やタクシーを使って
外来に赴いています。
医師が自分の家族だからと言って往診として、
なおかつ往診料を請求するのは違反と指摘されるのは当然ですね。
ちなみにペナルティーですが、
診療報酬の不正請求だと過去の例からは
『医業停止3か月』
くらいが妥当な線だと思います。
これに懲りて正直に診療にあたっていただきたい。
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