リコピンには強力な抗酸化作用があることがわかっています。抗酸化作用とは体内の活性酸素を消去する働きのことを言います。活性酸素というのは普通の酸素に比べ、非常に酸化力が強い酸素のことを言います。活性酸素は、人間に感染した細菌などを退治し、また有毒な物質を中和・無毒化する役割を持っています。ただ活性酸素はがんや生活習慣病、老化にも関係しています。「活性酸素が過剰になる」ことを「酸化ストレス」と言います。酸化ストレスはタバコ、紫外線、飲酒などによって上昇します。この活性酸素を上手にコントロールするのにリコピンに効果があると言われています。今回は特に男性にとってのリコピンの重要性、その効果について掘り下げてみたいと思います。
1.活性酸素の男性への影響
酸化ストレスは男性のコンディション低下を招きます。男性のコンディション低下と言えば、男性不妊が挙げられます。活性酸素が精子のDNAや細胞膜を損傷し、精子の障害を引き起こします。男性の特有のがんとして前立腺がんがあります。前立腺がんと活性酸素が関係しているとのデータもあります。
2.リコピンの男性不妊の効果は?
カゴメ総合研究所や自治医科大学、国際医療福祉大学の研究グループは、男性不妊患者を対象に研究が行われています。44名と非常に限られた人数での研究ではありますが、リコピンを多く含むトマトジュースを週間的に飲むことで精子の運動率が有意に上昇したとのデータを示しました。
参照:Asia Pac J Clin Nutr. 2017; 26: 65-71
3.リコピンの前立腺がんに対する効果は?
再発前立腺がん患者を対象に行われた臨床実験では、リコピンを含むサプリメントを6か月内服したところ前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの上昇に抑制されていました。初期の前立腺がん患者に対する研究でもがんの進行が抑えられていたとの報告もあります。勘違いしてほしくないのですが、リコピンが標準治療にとって代わるとはだれも言っていません。標準治療の上乗せや治療適応がない高齢者や初期の患者さんにとっては一つの選択肢になりうるとの報告です。
4.リコピンはどれくらい摂取すればいいの?
がん予防を目的にするのであれば1日に5㎎~10㎎程度は必要と考えます。大きいサイズのトマト1個分くらいです。十分に摂取可能ではないでしょうか?トマトが苦手な方には、サプリメントもたくさんあります。
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