企業勤めの内科医ヒロスケです。
隙間時間に改めて勉強しているGCP。
勉強の定着にはアウトプットが効果的なので、この場を利用しています。
お付き合いいただければ幸いです。
本日は治験実施医療機関の要件です。
この話題は3年目の専攻医の先生方にも読んでいただきたい。
自身のキャリアを見た時に企業治験を経験したことがあるかどうかって、意外とバカになりません。
GCP上の治験実施医療機関に求められるもの
GCPには実施医療機関の要件として以下の三つが記載されています。
- 十分な臨床観察及び試験検査を行う設備及び人員を有していること
- 緊急時に被験者に対して必要は措置を講じることができること
- 治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員が十分に確保されていること
この条件を満たそうと思うと自然と大学病院やがんセンターと言った特殊な病院になってしまいます。
特殊な施設としては、健常人を対象とした第1相試験の実施施設でしょうか。
健常人を対象とするので、通常の病院ではなく、治験専門の施設のような病院があります。
GCP上には実施医療機関の長に、治験に係る業務に関する手順書を作成することを要求しています。
特に被験者の秘密の保全に関する措置は強調されており、
どこの病院でも治験は実施できないことが分かります。
実施医療機関は企業に協力的であるべき?
GCPには実施医療機関の長は、依頼者(製薬企業)が記録を確認(モニタリング)することに協力しなければならないと記載しています。
とはいうものの、現場の医師の多くは通常業務で忙しい。
とても求められれば何時でも質問に応じますよ~、とはいきません。
ということで、医療実施機関には治験業務に対応するスタッフが必要になります。
このスタッフがいわゆるCRC(治験コーディネーター)となります。
よく混同されますが、CRA(臨床開発モニター)はモニタリングにおいて企業側の立場の職責の人を指します。
治験実施医療機関に求めることの実際
GCP上の要求する内容について当然なのですが、
実際に依頼する上で重要なのは
症例登録が可能か否か
症例登録ができない施設に依頼しても治験は進みませんので当然と言えば当然。
治験の対象疾患を多く取り扱っており
さらにGCP上の要件を満たす病院を探すことになります。
と、するとやはり過去の実績に応じた選定になってしまう。
この辺りをデータベースにして、治験の進行予測をAIで行うのは可能だと思うんですが
まだ出会ったことがない。
私でも思いつくので、もう実行されているとは思っています。
この辺りを世界で実現化するのはグローバルCROなんかが一番近いんじゃないかな。
あとは、承認された後に販売に影響を与えるであろう偉い先生(Key Opinion Leader :KOL)がいる施設なんかも重要ですよね。
治験実施医療機関の選定に営業活動、マーケティングなんかが口を出してくる所以です。
治験の登録症例数が多いと論文を書く権利が与えられることが多いので
論文を書いて、実績を積みたい先生にとっては企業治験は大切だったりする。
もちろん、純粋に新規化合物を薬品に育て上げることに喜びを感じている先生もいます。
実施医療機関を決める時に苦労すること
本当にくだらない事なんですが、仲の悪い先生を一緒に出来ないこと
良い大人なんだから、仕事は仕事と割り切ってもらいたい
比較的高齢の先生でこだわる方がいらっしゃいます
そういった先生の施設は最終的には外されます
でないと、治験が終わった時の論文化の段階でトラブルが生じる。
だれが筆頭著者になるのかで、ひと悶着どころはトラブル尽くしになります。
依頼者と適切な距離感をもって、是々非々で治験に参加してくれる先生は本当に重宝されます。
ひっきりなしに治験の依頼をされる先生はやはり人格者が多いですね。
若手の先生方へ
専門医としてキャリアを伸ばそうと思っている先生は
企業治験に携わっておいて損はありません。
企業治験の論文を書く機会はさすがにすぐには手に入りませんが
学会での発表は可能性があります。
学会も国内でなく、海外の学会です。
勤め先の条件として、企業治験に参加しているか否か
そんな目線で勤め先を選んでみても面白いと思いますよ。
参考:
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