こんにちは。
企業勤めの内科医ヒロスケです。
仕事終わりにウェブニュースをみて背筋が凍った内容
破傷風ワクチンの出荷停止!?
マジか
普通に救急外来で外傷患者に投与したこともありますよ。
多くの薬の出荷が滞っているのは知っていますが
ここまでかと・・・
皆様のためにも破傷風ワクチンが必要となるシチュエーションを共有しておきます。
破傷風ワクチンが必要となる状況は、主に以下の2つのケースに分けられます。
基礎免疫の確立・維持のため
破傷風菌は土壌中に広く存在し、身近な環境に潜んでいます。そのため、誰もが感染するリスクがあるため、予防接種が最も有効な対策とされています。
- 小児期: 日本では1968年以降、小児期の定期接種に破傷風ワクチン(DPT-IPVなど)が含まれています。これにより基礎免疫をつけます。
- 成人:
- 最後の接種から10年以上経過している場合: 破傷風の免疫は10年程度で低下すると言われています。そのため、成人になってからも10年ごとの追加接種が推奨されています。特に、昭和42年(1967年)以前に生まれた方は、小児期の定期接種に含まれていなかったため、基礎免疫がない可能性があり、積極的に接種が推奨されます。
- 海外渡航・赴任: 特に土壌に触れる機会が多い途上国への渡航や、復興支援、発掘調査などに携わる場合は、海外での感染リスクが高まるため、事前の接種が強く推奨されます
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- 特定の職業: 土木作業員や農業従事者など、土壌に触れる機会が多い職業の方も接種が推奨されます。
外傷時の緊急対応として
破傷風菌は傷口から侵入して感染します。そのため、傷を負った際に破傷風の感染リスクが高いと判断された場合は、緊急でワクチン接種が必要になることがあります。
- 壊死組織(死んだ細胞)がある傷: 壊死組織は破傷風菌が増殖しやすい環境です。
- 土壌、鉄さび、動物などで汚染された傷: これらのものには破傷風菌が潜んでいる可能性が高いです。
- 動物による咬傷(こうしょう): 特に犬などの動物に噛まれた場合は、狂犬病ワクチンと合わせて破傷風ワクチンが必要になることがあります。
- 深い傷や広範囲の傷: 傷が深く、嫌気的な環境になりやすい場合もリスクが高まります。
- 最後に破傷風ワクチンを接種した時期が不明、または5年以上経過している場合: 傷の状態によっては、追加接種が推奨されます。
その他、注意が必要な状況:
- 不衛生な医療施設での医療行為: 海外の不衛生な医療施設での処置により感染するケースもあります。
- 人工妊娠中絶、ピアス、覚醒剤注射、出産時の臍帯不潔処理: これらも破傷風菌の感染経路となることがあります。
- 妊婦: 妊娠中に破傷風に感染する恐れがあり、かつワクチンの有益性が危険性を上回ると判断される場合は接種が可能です。特に医療設備が不十分な場所での出産を予定している場合は、新生児破傷風予防のために推奨されることがあります。
まとめ
破傷風は発症すると致死率が高い重篤な感染症です。
そのため、日頃からの予防接種による基礎免疫の維持が非常に重要です。
傷を負った際には、その状況によって破傷風感染のリスクを考慮する必要があります。
皆様、本当にお気を付けください。
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