「新型コロナウイルス」血清中抗体検査のメリットとデメリット

新型コロナウイルス肺炎

横浜市は9日、会見を開き横浜市立大学が新型コロナウイルスの患者血清中に含まれる抗ウイルス抗体の検出に成功したと発表した。この方法は特別な装置を用いることなく、短時間で判定が可能。さらに血液採取による検査のため二次感染のリスクが少ないという画期的なものであり、今後多数の検体で検証し、診断法の確立や診断キットの開発など実用化を目指すという。

引用:ANNニュース

今回の発見のメリットは何でしょう。記事にも書いていますが、血液によって検査を行うので二次感染を防ぐことができるという点でしょう。もう一点のメリットは感染の既往が確認できることでしょう。つまり免疫を獲得していれば二度目はないはずです。ワクチンが開発されればそのワクチンの効果を血液検査で確認できるようになります。ではデメリットは何でしょうか?最大のデメリットは、感染初期にはあまり役に立たないことです。初期感染の場合には、まだ免疫ができていません。よって抗体は出来上がっていない可能性があります。

免疫の獲得機序について簡単に説明しますね。免疫には、自然免疫と獲得免疫の2種があります。一つ目の自然免疫は、白血球の中の好中球やマクロファージといった細胞が主役です。この細胞は非自己と考えられる病原体を食べて消化する細胞です。ここで病原体を食べる細胞を食細胞と言います。食細胞は病原体を食べると同時に、獲得免疫のための情報を作ります。病原体の特徴である「抗原」を提示するのです。提示された抗原を読み取る細胞がヘルパーT細胞になります。ヘルパーT細胞は提示された抗原情報をB細胞に伝達し、B細胞はその過程で形質細胞に成熟して、抗体を生産するのです。自然免疫から獲得免疫への橋渡しがなされ、大体5~7日以降になって初めて獲得免疫が誘導されることになります。ここで気付く人がいるかもしれませんが、抗体が血液にあったことは、必ずしも現状の感染を意味していないのでは??という質問が生じることです。ご指摘はその通りですが、抗体というものにはいくつかの種類があります。その種類によって役割があり、産生時期が異なります。初期に多く産生されるのはIgMというタイプの抗体です。したがってIgMが高値を示せば現状感染していると考えてもよいのです。

今回の横市大の発見は今後の新型コロナウイルス感染治療にとって非常に有意義なものです。しかしながら現段階ですぐに有用なモノにあり得るかと言われるともう少し時間が必要かなと考えます。

 

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